第1回入学式写真
根津育英会武蔵学園は2022年4月17日で創立100周年を迎えました
武蔵学園史紀伝
武蔵大学図書館のコレクション
イギリス通貨・銀行史コレクションを中心に
清水 敦(武蔵大学経済学部特任教授)

武蔵学園の図書館

 現在、武蔵学園には、武蔵大学図書館と武蔵高等学校中学校図書館の2つの図書館がある。

 図書館の充実を図ることは、旧制武蔵高等学校の以来の方針であり、開学から4年後の1922年の時点で、すでに蔵書数は2万8千冊に及んでいた。ただし、独立した図書館棟の建設については、その計画はあったものの、戦前の鉄材統制の影響などもあって、旧制高等学校の時代には実現をみるに至らなかった。戦後、大学の開学をうけて1951年に、新たに書庫と閲覧室が建設された。そして63年には新たな図書館棟が作られ、81年には現在の大学図書館が新築され、さらに2002年に大学8号館が建設されると、その地下に「洋書プラザ」が設置され、大学図書館に収蔵されていた洋書がここに収められた。大学図書館は大学と高等学校中学校が共同で利用されてきたが、04年に高等学校中学校の図書館棟が建設され利用が開始された。ただし、図書館を学園全体で利用する伝統はその後も続き、大学の学生・教員と高等学校中学校の生徒・教員が2つの図書館を利用するかたちは維持されている。

 現在の蔵書数をみると、大学図書館では約65万冊、高等学校中学校では約7万6千冊に及んでおり、充実した内容のものとなっている。

 さて、大学や高等学校中学校が図書館を設けて文献資料などを収集・保蔵し、利用の機会を提供する目的はどのよう考えられるだろうか。

 いうまでもなく、学生・生徒が、学習に関連した書籍や各自の知的関心に応える文献などを閲覧できる環境を整備することを、その第一にあげることができる。武蔵学園は、旧制高等学校の時代から、「自ら調べ自ら考える力ある人物」の育成を「三理想」のひとつに掲げており、図書館機能の充実はこの理想の実現を支えるものといえる。

 他方、各分野の研究に必要な文献資料などを収集・保存することも、図書館の役割である。特に「学術の中心」(教育基本法)とされる大学の図書館の場合、これは、教育と並ぶ基本的な役割であるといえる。そして、これらの資料は当該の図書館を運営する大学などの教員の研究に利用されるだけでなく、利用の便宜を外部にも広く提供し、社会の学術研究の発展に資する役割を担うものでもある。各々の分野の研究に必要な資料は広範囲に及び、また研究分野も多様である。他方、それぞれの図書館が所蔵できる資料の数は限られている。したがって、こうした外部提供の果たす役割は大きいといえる。

 現在ではインターネットの普及により各図書館が所蔵する文献資料など検索をすることは容易となった。各大学図書館のOPACと呼ばれる文献検索システムはインターネット上に公開されている。また、国立情報学研究所(NII)が提供するCiNii Booksというデータベースによって、全国の大学図書館などが所蔵する図書・雑誌や雑誌を一括して検索

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これまでの百年と次の百年への展望

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