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就職
これまで示してきた学風のもとで学んできた学生が卒業後どのような進路を選ぶべきかについて,大学は学生と一緒に考えてきた。創立初期の武蔵大学で学生の就職相談に応じたのは学生部で,学生部は第1回生が就職活動を行った1952(昭和27)年以来,きめ細かい親身の指導を行ってきた。武蔵大学がその後,就職環境の厳しい時にあっても常に高い就職率をあげることができたのは,当時の学生部を中心とする全学をあげての応援体制によるものに他ならないが,それとともに指導教授制および父兄会(96年度からは父母の会)が果たした役割も大きかった。
かつて就職は学校推薦が主流であった。学生は職業選択にあたって,会社・団体などからの求人を学生部で知ると大学に推薦を希望する旨を申し出る。大学は求人側の条件に沿って希望学生のなかからその会社に向ける学生を選考する。例えば68年度の場合,73%の学生がこの制度のもとで就職し,それ以外は縁故や自己開拓によるものだった。
この推薦制度に代わって学生が直接会社を訪問し選考を受けるという,いわゆる自由応募が普及するのは70年代以降である。武蔵大学の場合も70年代に入ると学校推薦は減少し,学校推薦応募は79年には10%以下になった。自由応募による就職が一般的になる過程で,大学の就職関連業務は斡旋から指導に変わっていった。
就職に関する指導は,89年度までは学生部就職課,90年度からは就職部が担当し,ガイダンスや各種就職対策講座などを行ってきた。さらにゼミ・演習の指導教授,卒業生の積極的な協力もあり,きめ細かな全学的協力体制が確立してきた。その結果,卒業生の就職状況は良好で内定者の8割以上が第一志望群の会社や団体などに決まっている。武蔵大学の卒業生は会社,団体,学校など様々な分野で活躍しており,各方面から高い評価を得ている。
近年の就職にあっては,学生が就職活動をインターネットで行う時代となり,学生はネット上で企業検索をし,応募(エントリー)や応募書類(エントリーシート)の提出,説明会や面接の予約もサイト上で行うことが多くなってきた。就職という限定した指導にとどまらず,キャリアという広い視点からの支援が求められるようになり,2006(平成18)年6月より就職部就職課から学生支援センターキャリア支援課に組織変更をした。さらに10年4月には学生支援センターから独立してキャリア支援センターキャリア支援課となり,同年7月には企業開拓を主に担当するキャリア開発室を設け,企業訪問,求人開拓や学内企業説明会の企画運営などを行っている。11年4月にはデータ分析などを担当するキャリア戦略推進室も設置した。また従来から個別相談に力を入れており,学生個々人の志望を尊重し,主体的な就職活動を促すため,キャリアカウンセラーなどの有資格者を相談員として配した。
09年度,文部科学省の「大学教育・学生支援推進事業学生支援推進プログラム」に採択され,学内共通データベースの導入や,就職が内定した4年生がキャリア支援センター内で「就活サポーター」として自分たちの経験を後輩たちに伝える取り組みを始めた。毎年多くの4年生がサポーターとして活躍している。また,「武蔵しごと塾」では,各界で活躍する卒業生を講師に招き,業界の知識習得や自己分析,模擬面接などの講座を年に数回開催している。
11年度からは新カリキュラムの総合科目に「ライフマネジメントとキャリアデザイン」という分野が設けられ,1年生から正課授業のなかでもキャリアについて学び,考える環境が整えられた。学生が在学中の様々な学びや経験のなかから自分の将来について想いをめぐらせ,納得のいく進路選択ができるように全学を挙げてバックアップしていくことが求められている。