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教師のための長期研修制度
生徒だけでなく,教師にも1965(昭和40)年以来の短期研修制度(海外出張内規)に加えて,長期の研修を受けられる制度が求められてきた。大坪秀二校長時代に,その可能性が模索されたことがあったが,諸般の事情で実現に至らなかった。90年にイギリスのイートン校との生徒交換の協議のなかで大坪教諭から教師の交換が提案されたが,先方の事情もあって本校からの教師派遣だけが実現した。90年から10年間,イートン校の日本語教育援助と教師の海外研修を兼ねて一人2年間,5名の教師が派遣された。イートン校の日本語授業を軌道に乗せ,派遣教師の研修がそれなりにできたことで成果を認め得る制度であった。
しかしながらこの派遣制度は,ある程度英語科や国語科の教師に限られること,日本語を教授するという研修に限定されるという限界もあったことから,より広い目的を可能にする新たな制度が求められてきた。93年6月には教師会で規約を含めた話し合いがもたれ,矢崎三夫校長(当時)も実現へ向けての意欲を表明したが,諸般の事情でなかなか導入することができなかった。そうした流れのなかで,個人的な願い出による1年間の海外研修が2件認められ,大きな成果を収めていた。漸く2000(平成12)年9月,長期研修制度に関する規程が制定され,翌年9月から1年間,伊藤義器教諭(国語科)がオックスフォード大学に近代文学の研究のため研修に行って以来,以下の教師がこの制度を利用して研修を行った。海外での生活体験が持て,国際的視野が拡がり,国内ではできない研修ができること等,得られるものが多い制度であり,多くの活用が期待される。
2000年度 ケヴィン・バーグマン[米国]教育研鑽
2001年度 伊藤義器[英国,オックスフォード大学]近代日本文学と比較文学的研究「ポストモダン」以後の批判理論研究
2002年度 酒井良介[英国,ノッティンガム大学]英語語彙教授法の研究
2003年度 大西正幸[筑波大学,オランダ他]日本サッカー協会公認S級コーチ養成および海外プロクラブ,Jリーグクラブでの実地研修
2005年度 豊住伸治[韓国,ソウル]韓国文化の総合的研究
2008年度 島亮浩[東京学芸大学大学院]レーザースペックルによる固体の複雑構造の研究
2009年度 佐藤郁子[筑波大学大学院]中高生男子生徒の健康状態と食生活を中心とした生活調査からの考察
2010年度 手島 良[英国,ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)]日本語を母語とする英語学習者に対する発音指導法の研究
2012年度 加藤修治[英国,バーミンガム大学]西ヨーロッパにおける近代都市の形成過程に関する研究